ワンダフルデイズモーニング

COMPASSのワンダフルデイズモーニングのレビュー・感想・評価

COMPASS(2021年製作の映画)
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 愛する者の喪失そのものの悲しみを描写するんじゃなくて、「喪失した」という現実その揺るぎない過去性に対していかに向き合い、受け入れ、未来が眼前に広がっている自分はいかにその未来に前を向いていかざるをえないかという前向きな覚悟があった。
 ラスト2カットは、普通に考えたら逆の順番がオーソドックスというか順当なカット順なんだけど、そのラスト2カットをあの順番に並べたことこそが一番すばらしい。
あの2カットがテレコだったらめっちゃ悪くなるギリギリのラインをちゃんと作品が志向する方向へと判断されている。

 「作品が作者にとっての喪の儀式」みたいなものは観たくなくて、ややもすればそうなってしまうんじゃないか(そう思ってしまうんじゃないか)と結構観る前はヒヤヒヤしていたのだけど、そっちに振らなかったのは、本当に立派であると思う。
そういう判断をできること、することこそが作家の度量と思う。