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Pearl パールのkuuのレビュー・感想・評価

Pearl パール(2022年製作の映画)
3.7
『PEARL パール』
原題 Pearl
映倫区分 R15+
製作年 2022年。上映時間 102分。
タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演のホラー前作『X エックス』のシリーズ第2作で、1970年代が舞台だった前作の60年前を描く前日譚。
前作に登場した極悪老婆パールの若き日を描き、夢見る少女だったパールがいかにしてシリアルキラーへと変貌したかが明らかにされる。
前作で主人公マキシーンとパールの2役を演じたミア・ゴスが今作でも主演を務め、若かりし日のパールを演じてるほか、脚本と製作総指揮にも名を連ねている。
今作品の日本版オルタナティブポスターは画家・絵本作家のヒグチユウコ氏が描き下ろしたイラストを、本作の日本版ビジュアルのデザインを手掛けたグラフィックデザイナー・大島依提亜氏がデザインしたものだそうだ。
お二人ともフィルマークスにもレビューを書かれてる。
※当方、お二人さんとは一切関係のないただのファンの一人ですし、お二人さんがホンマものさんでフィルマークスをおやりになってるかは存じ上げかねます🙇。
『せかいいちのねこ』イチオシ最高ニャンコ😺。

感想に戻り、お話しは、
スクリーンの中で歌い踊る華やかなスターに憧れるパールは、厳格な母親と病気の父親と人里離れた農場で暮らしている。
若くして結婚した夫は戦争へ出征中で、父親の世話と家畜たちの餌やりの毎日に鬱屈とした気持ちを抱えていた。
ある日、父親の薬を買いにでかけた町で、母親に内緒で映画を見たパールは、ますます外の世界へのあこがれを強めていく。
そして、母親から『お前は一生農場から出られない』といさめられたことをきっかけに、抑圧されてきた狂気が暴発する。

扠、今作品は当初、モノクロで撮影される予定やったそうです。
しかし、A24が反対したため、極めて鮮やかなカラーで製作された。
ミア・ゴスは、モノクロから鮮やかな色彩に変更したもうひとつの理由として、チームはそのような方法で作られる映画が『独自のものになった』と感じており、彼女とティ・ウェストは『他とは違うユニークな』ことをやりたかったのだと主張している。
彼女とティ・ウェストの言葉通り今作品はユニークな作品になってた。
扠、今作品は『X』(2022)の前日譚であり、スラッシャーの悪役の出自に焦点を当てた驚きの作品でした。
ネット上では、この映画のファンがしばしばこの映画を "女の子のためのジョーカー "と愛情を込めて呼んでいるそうです。
同名のキャラの悲劇的な衰退を描くこの作品は、(1918年が舞台であるにもかかわらず)やや曖昧ではあるが、テクニカラーの50年代映画のようなスタイルで描かれており、ティ・ウェストが独特のレトロな美学をとらえる巨匠の一人であることを改めて証明している。
重箱の隅をつつくなら、
作中、パールが劇場に観に行った架空の映画『パレス・フォーリーズ』には、音響と音楽がついている。
『パール』の舞台が1918年であることを考えると、これは8年ほど早すぎる。
実験的な短編映画の音響は1894年には上映されていたが、1926年に『ドン・ファン』が公開されるまで、シンクロされた音響の長編映画はなかった。
もちろん、深読みして、パールの精神状態を考えれば、単に音楽を想像しただけかもしれないんやけど。。。
また、作中パールに上映されたポルノ映画は『フリー・ライド』で、『グラス・サンドイッチ』としてもその題が知られるサイレント期のポルノ映画。
現存するアメリカ映画でも最古のハードコア・ポルノの一つと考えられており、ロードサイドで二人の女性をひろったドライバーが、彼女たちと性交にふける様を描いている。
この映画の製作については議論がある。
一時は1915年のハードコアなD.W.グリフィス作品として悪徳配給会社から販売されたこともあったが、サイレント映画史家のケヴィン・ブラウンローは1920年代初頭に製作されたと推測している。。。
話は戻して、今作品の外観と雰囲気は、前述の前作やウェスト監督の初期のホラー/スラッシャー映画『The House Of The Devil』(2009年)ほど鬼気迫るものではないけど、それでもストーリーをその表現に直接結びつけることで、素材を高める満足のいく見事な味付けとなっている。
演出は特筆すべき出来栄えで、華を添えるべき時(そしてその方法)と、演技に身を任せるべき時を的確に心得ている。
ミア・ゴスは、複雑な中心人物役で再び輝きを放ち、必要な場面では景色を咀嚼しながらも、彼女の役が要求する間違いなくインパクトのある微妙な瞬間を表現するために身を引く。
歯応えのある役どころやけど、彼女はそれを見事に演じ、彼女がスターであることを何度も証明しているかな。
他の出演者たちもそれぞれの素材を使って堅実な仕事をしていました。
物語はゆっくりと、しかし着実に進行し、最初から不安な瞬間を散りばめている。
今作品は、自分たちがどうありたいかをよく理解しており、自分たちの特異性を恐れない。
ジャンル作品である以上に、徹頭徹尾、人物研究してるし、多くの点で、ジャンルのレッテルを名誉のバッジのように身につけながら、同時にそのレッテルがもたらすものすべてにコメントし、耽溺する『X(2022)』とは正反対。
これは、よりストレートでありながら、よりストレートでない、まったく別のものかな。
個人的には、『X』(2022)の方が好きやけど、なぜなら、その美学とそれほどでもないがテーマ性がより好きだからかな。
こちらの方がより強い作品だという主張も確かにある。
その点では、個人的な好みに帰結するんちゃうかな。
『X』(2022)と『Pearl』(2022)の両方が、ウェストとゴスの双方を注目すべき人物としてマークする、個性的で興味をそそる魅力的な作品であることは論を待たない。
『X』(2022)と『Pearl』(2022)に続くX三部​​作の 3 番目で最後の作品『MaXXXine』を本当に楽しみにしている。

余談ながら富山県で用事がさっさと終わったので観光もせず今作品を見知らぬ劇場で視聴。
なんか気分変わって良かったです。
帰りにブラックラーメン+大仏コロッケ+ライスは喰っとくかな。
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