ナガエ

Pearl パールのナガエのレビュー・感想・評価

Pearl パール(2022年製作の映画)
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いやー、しかし、イカレぶっ飛んだ映画だったなぁ。なにこれ???

舞台となるのは、1918年のアメリカ。当時は「スペイン風邪」が世界中猛威を振るっており、特に年配の人ほど過敏になっていた。
田舎の農場で生まれ育った少女パールは、厳格で細かなところまでうるさい母と、身体が不自由で自律的な行動が取れない父の元で暮らしている。彼女はダンサーになることを夢見ているが、厳格な母の元ではそんな希望は夢のまた夢でしかない。パールは、納屋に飼っている動物たちの世話をし、身体の動かない父親を風呂に入れ、母親から高圧的に怒られる日々に甘んじている。
ある日パールは、街に父親の薬を買いに出掛けた。そこで彼女は、母親に内緒で映画を観る。まさにそこには、彼女が憧れて止まないダンサーが映っていた。その後、たまたま映写技師と知り合い、「私は世界的なダンサーになるの」という思いを新たにする。
しかし現実は厳しい。どう考えても、この農場から出られる見込みなどない。
そんなある日、ヨーロッパの戦争に志願してしまった夫ハワードの妹がやってきて、「今度教会でダンスのオーディションがある」と教えてくれた。パールは、何があってもそのオーディションに参加しようと決意するが……。
というような話です。

そもそも映画を観終えた後知ったが、この映画は『X エックス』という作品の前日譚なのだそうだ。どうやら『X エックス』ではパールは「おばさん」みたいな年齢らしく、その若い頃を描いている、という映画であるようだ。『X エックス』を観ていたらどの程度「腹落ち感」が増すのかは不明だが、「なるほど、あのパールは若い頃こんな風だったのか」みたいな見方が出来るのだろう。『パール』しか観ていない場合は、やはりその辺りの理解がちょっと乏しくなるかもしれない。

1918年が舞台ということで、色んな意味で「古臭い」演出の映画だと感じた。もちろん、1918年が舞台だから衣装とかそういうものは古さが出て当然だけど、そういうことだけではなくて、なんとなく「昔の映画を観ている感」みたいなのがあった。たぶんそれって、上手くやらないと「下手」みたいな印象を与えかねないと思うんだけど、パールを演じた女優を含め、役者の演技がちゃんとそれを成立させていたような感じがした。

しかしこの映画、「R15+」って指定なんだけど、「ホントに?」って感じだった。どういう基準で指定が掛かるのか知らないけど、なんとなく「R18」とかでもいいんじゃない、と感じる映画ではあった。

あと、とにかくパール役の女優が、なんというのか「素の狂気」みたいに感じさせるヤバさを最初から最後まで放出していて、それが凄かった。違和感を覚えるぐらいの赤い唇とか、オーバーオールを着た幼さみたいなものがミックスされた「狂気」って感じだったが。「ヤバい行動」をしている時のヤバさはもちろんヤバかったが、「ヤバい行動」をしているわけではない時にもそこはかとなく滲み出るヤバさがヤバかった(メチャクチャ頭悪そうな文章だなぁ)。

さてまあそんなわけで、うーんなんともって感じではあったが、とにかく「ヤバさ全開」の映画ではあった。
ナガエ

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