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Pearl パールのwoosのレビュー・感想・評価

Pearl パール(2022年製作の映画)
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TOHOシネマズ日比谷にて字幕版を鑑賞。
2023年新作劇場鑑賞49作目。
客席は満席
テーマ「田舎とか親の介護とか最悪」

[全体として]
リベンジシリーズ二本目。(リベンジシリーズとは『ヴァチカンのエクソシスト』のレビューに書いてあります。)

すげー好き。
今年今んとこナンバーワン。
でも具合が悪い時には観たくないかも。健康を取り戻して良かった。

お話的には、田舎の農場でほぼ寝たきり状態の病気の父とその父を厳格な母と共に介護するパールが主人公。前作『X』のパール婆さんの若い頃の話。
第一次世界大戦中のアメリカで旦那が出征中で、実家で父の介護をしながら映画スターになることを夢見ているパールだが、母親はとても敬虔なクリスチャンで厳格。家畜の世話をしながら鬱屈した日々を送っているが、ある日父親の薬を買いに街へと出かけるとこっそり映画館で父親のモルヒネをキメながら映画を観る。鑑賞を終えパンフレットを見ながら映画館の外で休憩していると、セクシーな映写技師の男と知り合う。男は親切に映画ならいつでも観せてあげるから、いつでもあのドアをノックしてとパールに告げる。
次の日義理の母と妹が焼いた豚を持って農場に訪れたときに、義理の妹からミュージカルのオーディションがあるという話を教えてもらい、そのオーディションを受ける決意をするパールだったが。。という感じの話。

[良かったところ]
「親と同居」「介護」「抜け出せない田舎」という「地獄」がよく表現されていて、それでいて色彩豊かなテクニカラー画面が描き出す地獄はモノクロで暗い感じで表現されるよりも、異様に映る。きっとパールの心象表現でそのカラーづかいなのかなと思うのだが、最悪な中にも明るい未来を夢見ているんだろうなと。
基本的には「親がなって欲しい」息子であったり娘になる必要はなく(もちろんそれを自分の人生の是として生きている人を否定するつもりは毛頭ない)生きたい場所で、好きに生きればいいと思っているので現代であれば逃げてしまえばいい。しかしこの映画の時代にはインターネットはおろかテレビすらないので、多様な価値観などあるあずもなく、ただそれを受け入れる必要がある世界というのが非常にキツイ。
田舎で鬱屈した感情を抱えて暮らす気持ちは痛いほどわかるし、このままここで一生を終えてしまうのか。。と2つの太陽を眺めながら悲嘆に暮れるエピソード4のルーク・スカイウォーカーのような感情は田舎から都会に出た人間はみんな持っていると思う。その痛い表現がすごく突き刺さる人が結構いるんじゃないだろうか?(だからって人は殺さないけど)
今回も『悪魔のいけにえ』オマージュはあるし、あと『オズの魔法使』オマージュもふんだんにある。何よりセットや全体のデザインが素晴らしい。パンフレットのデザインも最高。

[気になったところ]
はやく続編ください。

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刺さる人には刺さる映画だと思います。
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