「私はただ愛されたかっただけ」
パールはスターになりたいから実家を出たかったのか?実家を出たいからスターになりたかったのか?
思うに、パール自身、スターに憧れていると口では言いながら特に熱心にダンスの練習をしているわけでもなさそうなところから察するにスターになりたいっていうのは体の良い言い訳だったんだと思う。
本当のところは、母親に抑圧され、病気の父を看病し、動物の世話をし、戦争に行った夫の帰りを待つだけの閉塞的な空間に怒り、悲しみ、憎み、をぐつぐつ煮えたぎらせながら絶望を煮込んでいったんだと思う。
絶望を煮詰めた結果、愛情を求めるけれども愛情に誰よりも懐疑的になり、誰のことも信用できなくなり、悲劇の大女優として生きていくことで自分を慰めたのかな。
絶望っていくところまでいくと、それに浸ることで快を見出せるのかもしれない。
最後のショットは正気のパールと狂気のパールの全部が表された凄惨な笑顔。笑顔に見えるときもあれば怒りの形相に見えることもあって、これはミア・ゴスの演技力に脱帽だよ…。素晴らしかった。
思ってたよりパールの内面を深く深く描いてて、共感しちゃったし同情しちゃったわよ……。Xで色欲ババアって笑ってた自分だから、こんなはずではなかったのだが。
パール好きになっちゃった。