PDfE

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのPDfEのレビュー・感想・評価

4.4
舞台挨拶付上映で観たのだけど、監督が「収まりのいい映画にはしたくない、自分のような取り乱している人間が撮らないといけない」というようなことを仰っていて、そのごつごつした感覚がそのまま映像の中に閉じ込められていた。
登場人物達の喋りは決して流暢ではないし、「やさしさ」とは何か、この映画は決して答えを出さない分、まるでぬいぐるみのように折に触れて話しかける映画になりそう。

登場人物の中で一番共感するのは七森。七森が地元の知り合いに怒った時、「嫌なことを言う奴はもっと嫌な奴であってくれ」というような台詞を言っていた。言っている人はそれが「嫌なこと」とは思っていなくて、あくまで社会に流布している規範から発せられた言葉で、と思ってう〜となった。でもたとえ相手を傷つけることになろうとも、ああやって意義を申し立てない限りは対話は始まらないし、対話しなければ自分の加害性を認識することもできないのだよな…。

逆に白城の「ある状況を引き受けるやさしさ」というのが自分には分からなくて(最後の白城の言葉は監督にも分からないと話していた)、それはなぜなのかを考えたくなる。
監督が「白城だけがぬいサーを客観的に見ている、ポスターでも一人だけよく見ないと分からないような小さなイルカのぬいぐるみを抱えている」というようなことを話していた。よくよく見てみるとカメラ目線なのも白城だけ!
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