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アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~のKのレビュー・感想・評価

3.9
Nunca más.

1976年のクーデターによって樹立されたアルゼンチンの軍事政権が1983年に政権崩壊するまで国民に行ってきた拉致、拷問、殺人等の過剰な弾圧を、''そういう時代だった''では終わらせない。軍事独裁政権を裁いた初の民政裁判を描いた実話。

アルゼンチン版『顔のないヒトラーたち』といったところでしょうか。

アルゼンチンの負の歴史代表と言えば、経済破綻と軍事独裁政権ですかね。1929年の世界恐慌以来、1983に民主主義が確立して今に至るまで、政府と軍の距離が密着したり離れたりを繰り返す非常に不安定な時代を経験し、軍事政権下では軍人たちによって同じ人間にすることではない非常に非道な''政治''が行われてきたアルゼンチン。

それを、民主主義国家として立ち上がって間もない国民たちの小さな声1つ1つが、権力による圧力に怯えながらも、少しずつ人を動かし、平和を自分たちの手で築いていこうという大きなモメンタムへとなっていく。

国・政府は誰のためにあるのか。この映画の検事たちのような良き心がある限り、世の中捨てたもんじゃない。何かを変えること、大きな権力に立ち向かうことはとてつもなく勇気と労力がいることだけど、正義は必ず勝つ、と信じたくなった。
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