funkycrime

バートン・フィンクのfunkycrimeのレビュー・感想・評価

バートン・フィンク(1991年製作の映画)
4.9
久しぶり再見
やっぱり好きだ!
さらに好きになった

ジョングッドマンが暑苦しすぎるところ以外は満点をあげたい作品。

一つ一つのシーンが研ぎ澄まされていて、どれも時を忘れられるほど美しいと思った。
プロダクションデザイン、音楽、ジョンタトゥーロの演技、フレーミングやカメラワークも全てが美しい。

ロジャーディーキンスはそんなにカメラを動かす人ではないけど、全てのショットにここまで的確な意味を持たせられる人はいない。
引きの画も寄りの画もどれも印象に残る画ばかり。たまにシンプルに動くカメラワークも意味ありげで、この映画の不思議さを際立たせている。
Chicago Readerの評論家が「コミック的」と言っているけど、バラエティに富んだディーキンスのフレーミングのことを言っているのかも。

飾っておきたい、絵画のような映画。
どのシーンも起きていることをしっかり描いているけど、映画全体としては抽象的で、ストーリーを書かずに、映像で直接話を作っているような作品。
映画の流れの構造だけをしっかり作り、そこに見たい絵を描いていくようなメタフィジカルな映画なのかもしれない。形而上学的というやつ。
哲学的な構造にまで映画を分解し、抽象性を表現しているとしたら… そんなことを兄弟でやっているとしたら、やばすぎる。
この映画はポランスキーの「反撥」と「テナント」に影響を受けているらしいけど、それらの映画のメタ構造を空っぽの箱として構築し、そこに絵を描いているようなことなのかも。

チャーリーカウフマンが「無人島に持っていくならこの一本」と言ったらしいけど、たしかに私にとっても大好きな映画ということを再確認した。
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