このレビューはネタバレを含みます
東京国際映画祭ガラセレクション。
イニャリトゥ監督最新作。
「バルド」という言葉の意味を知らずに鑑賞したので、後半のこり30分くらいで自分が気づいた時に衝撃がすごかった。(本編ラストくらいにしっかり説明カットあり。)
監督が登壇の時に「何も考えずに感じ取ってほしい」的なことを言っていたので、頭を空っぽにしてみたけど、どんどん身体の中に入り込んできた。
鑑賞して振り返るとドンドンとんでもないことに気付いたりします。
「人生は全て自分が感じ取ったままの記録である」という主題からして
おそらく、主人公は本当はメキシコ系の先住民系黒人。しかし、劇中はヨーロッパ系の俳優さんが演じている。(最後まで暴かれないので想像の域だが)
土地や人種を超越して空に憧れる主人公を圧倒的な映像美で描いている。
「LA(ロサンゼルス)って天使がたくさんいるの?(スペイン語の直訳で)」というセリフは痺れた。
作品を通して常に自由を求めて旅をする主人公。
自由=死語の象徴たる天使をこのセリフに込めたのは、ハリウッドかアカデミーへの警鐘か。
映画の聖地たるLAが、出身や人種を参加条項に加えるなど、囚われ続ける事態を暗喩しているようだった。1番自由なはずの場所で認められたはずの自分が「メキシコ人監督」という看板に囚われ続けていることへの葛藤を感じた。
他にもブラックユーモア含め、喪失を余すことなく描いた大傑作。
絶対に映画館で見てください。