ヒラセシオ

ボーンズ アンド オールのヒラセシオのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
5.0
シーン、カット割、全てが美しい。ティモシー•シャラメを抜きにしても。

絵画から学校の校舎へと始まるオープニングから、抽象的なラストまで終始完璧だった。
なんで、あんなありふれたアメリカの学校の校舎が美しいんだ?

ルカ•グァダニーノ監督は、本作を撮るにあたり、自宅にあったメンフィス出身のウィリアム•エグルストンの写真集を手に取ったらしい。ウィリアム•エグルストンの写真美は、何でもない日常に見え隠れする不穏な空気感だと思う。

「エグルストンの被写体は、表面的には、メンフィスやミシシッピの郊外の普通の住民や環境であり、友人、家族、バーベキュー、裏庭、三輪車、雑多な日常である。これらの被写体の普通さは欺瞞的であり、イメージの背後には危険が潜んでいる」

Bones and Allの映画の美しさは、カニバリズムのメタファーであるマイノリティ特有の雰囲気、危険性、脆さではないだろうか。

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ps.マーク•ライアンス演じるサリーが、物語の推進力となっていてとてもよかった。彼がいなければ、緊張感のないロードムービーになってたと思うし、あのラストに行きつかなかった。
Bones and AllもCall by your nameも、愛の形としては同じことなんだなと思った。

ps.アパートの室内、上から平面パースのように見下すアングル。
マレンがリーを車に残して去る場面。樹木の緑と青い車、リーの赤いファッションの色彩と、水平に分割された構図が美しかった。
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