Kaji

アテナのKajiのネタバレレビュー・内容・結末

アテナ(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

警察のリンチで亡くなってしまった子供の兄2人を中心に、警察へ犯人の引き渡しを訴えた蜂起を描く。兄弟を失った怒りや不条理な暴力と連鎖がワンカット調の長回しで繋がっていく。
壮絶なシーンが続き、事件の深層も衝撃的。

冒頭の警察署襲撃から、先導していたカリム→兄のアブドルへ。
アブドルは軍人で公権力側だけれど、弟を失ったことと自分の立場で苛まれる心理とカリムのことが痛いほど理解できる兄として境界線にいる。
そして登場するギャングになった異父兄弟の兄、誘拐された機動隊員、、
群衆、避難する住民、おそらく爆発物のエキスパートから従軍リタイアしたであろう友達(この人の背景は少しわかりづらかったけど、PTSDの治療中かテロ組織の離脱者)と何度も何度も電話してくるお母さん。
警察と子供をリンチした事件の真相から、象徴的なラストカット。。

一つの義憤が暴力で連鎖していく中で、家族の姿も描きこんである。

 アテナはパリ郊外の団地名。いろんな映画で、パリ郊外団地住人の多様なバックボーンと貧困化は描かれてきたし、そこには差別や権力への怨嗟がありながら家族を愛している人たちが生きてる。
「アテナ」では、暴動の始終が暴力の構造とフランスの社会問題を重ねて描き出してあったと思う。
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