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サントメール ある被告のnatsのレビュー・感想・評価

サントメール ある被告(2022年製作の映画)
3.1
娘を殺した女性が、淡々と法廷で証言をしていくというストーリー。
ひとり親として子供を育てる辛さや難しさだったり、自身の母との複雑な関係、自身の出生のこと、女として・娘として・母としての孤独さや誰にも言えない苦しみなど、証言の中に社会的な部分も含めて問題は沢山出てくるものの、殺した明確な動機は被告自身も「わからない」と言う。
被告の表情も全く変わらないので、心情もなかなか読み取れない。

あらすじから、よくある裁判で決着がつくような法廷劇ではなさそうだと思っていたものの、
ここまで受け手側にさまざまな考えを持たせる作品だとは思わなかった。
読み解くのはかなり困難だったが、こういった考えさせられる映画はとてもありがたい。
人間は複雑で不安定である以上、動機無く行動することだってあるだろう。

劇的な展開はないにしても、良い映画だった。
あと被告の弁護士役を演じたオーレリア・プティさんが素敵だった。
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