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ペルシャン・レッスン 戦場の教室のnatsのレビュー・感想・評価

3.8
あまりにも残虐すぎるのでナチ系の作品には目を背けてきた人生だったが、架空のペルシャ語レッスンで生き延びろ!といったあらすじを見て、ホロコーストの描写は少ないのかもと思い視聴。もちろんそんなことはなく、やはり生と死の隣り合わせの空間で、常に緊張感が張り詰めていて終始ドキドキした。
非人道的な行為を疑問も持たず平然と行う集団の中にも、上下関係や妬み嫉みなどの恋模様といった複雑な関係性も描かれていて、その差に少し戸惑った。たしかに彼らも同じ人間だったと気付く。特に、ペルシャ語を学びたいと言うコッホ大尉のキャラクターが良かった。

コッホは、私は殺しはしないと言っていた。
綺麗な響きの単語に恍惚の表情を浮かべる。
新しく学んだ言語で詩を作ってみる。
幼少期は貧しく、食うものに困ったが、今は太って服が着れなくなったと言う。
レッスンの間、ジルと過ごす時間は大尉でもナチスでもなく、一人の人間として存在していたように感じる。きっと彼の本来の姿だったのだろう。この作品の中で特に人間味を感じられた彼だからこそ最後の場面はすごく悔しく悲しかったが、あの結末で良かったのだと思う。
すごく良い映画だった。
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