実話ベース。
というか、セリフの類はほぼ裁判で語られたものそのまんまなんだとか。
自身の作品の参考にしようと傍聴してた女性作家の心の揺れを感じながら、理解を深めていくみたいなスタイルで、なかなか斬新な実話ベース法廷もの。
セネガルからフランスへやって来た優秀な女性が、大学生活を脱線させ、子供を産み、殺してしまう。
完璧なフランス語を身につけ、幼い頃からよく出来た子で、金に困ってもいなかった。
けれど、文化の差、風習の違い、フランス人ではない立場、若い女性。
要素が複雑に絡み合って運命を導き、結果、育ていた子供の命を奪う。
という風に理解した。
男の子ならこうはならなかったはず。
結局、生命が生まれた時、女性は絶対に親になる道から逃げられないんだもんね。
学もありフランスには来たけれど、アフリカで生まれ育った過去は変わらないし。
ひとりひとりをじっくりと映すカメラワークには迫力があり、ドキュメンタリーの味わいがある。
最後の弁護士の発言はなんとも言えない気分になったけど、裁判なんだもんな。
架空ではないことがずっしりとのしかかってきて、物悲しさと共に見終わった。