なによりも『SF』というジャンルへの憧憬、リスペクトを感じられる。
宇宙、荒廃した社会、哲学的思考などSFとして成立させるためのキーワードを押さえながら、特筆すべきはそれらを高いレベルで映像に落とし込んでいるということ。
セリフよりも雄弁に我々に語りかけてくる、均整のとれた美しいショットたち。リストの『愛の夢』を引用しながら、しかし確実な意図を持って配置された音楽。
これらを若干21歳(撮影当時)で作り上げたというのだから驚きである。
『journey』は、往年のSF映画たちへのリスペクト、そしてそれらに肉薄してゆかんとする確かな意志を感じられる映画だった。
