時代の違いなのか法律の違いなのか。精神疾患を患っている人の法的責任をどう捉えていいのかわからず、その視点がノイズにもなったのか一作目ほどには刺さらなかったというのが正直なところ。でもそれは映画自体の評価というよりも自分との相性というか見る側のリテラシーの問題のようにも思われる。
アーサーは自身をコントロールできているのか踊らされているのか。恐らく両面あったのだろうが、少なくとも狡くて無責任な大衆、その象徴でもあるリーに蝕まれていたことは間違いないだろう。哀しき最期はジョーカーを神格化せず一作目とは真逆の常識的な落としどころのようでもあるが、精神疾患を持つ人に対する過罰的で不寛で偏見が排除されていない社会を表しているようにも感じられ、必ずしも常識的とも言いがたい。
演出はとても良かった。ミュージカル風というべきか、あるいはミュージカル映画といってもいいと思うのだが、こんな作風とはつゆしらず、思いもよらないポジティブサプライズ。アーサーの心象描写に多用される歌唱シーンは、幸せでありまた哀しくもあるアーサーの心の内がとても良く表現されていたと思う。
難解なようなシンプルなような。見応えある作品でした。