小学校は小さな社会、タイトルを言い換えただけだけど、この映画を観て感じたこと。確かにそうだ。
主に1年生と6年生、そして教員にフォーカスを当て、ある公立小学校の春から翌年の春までの1年間を描くドキュメンタリー作品。すでに成人になった私の子供達が小学生だった頃や、自分の小学生時代のことも思い起こしつつ、ちょっと涙を浮かべながらの鑑賞となった。この気持ちわかるなあ、みたいな。同じ係になった女の子がちょっと気になるとか、涙ばかりではなくにやけて見入ったエピソードもたくさんあった。
主役となる先生は二人いたのだけれど脇役的な音楽の先生が印象に残る。小学1年生にかなり厳しい言葉を投げかける。児童は泣きじゃくるが、そこまで言える先生すごいよと称賛したい気持ちだ。先生は一人だけではないから、その児童をフォローする先生もいて、その連携というかチーム感がまさに社会という感じがした。
ただ、このドキュメンタリー映画はやや不満がある。コロナ禍に翻弄されながらも教育現場をまわす先生と児童のひたむきさを描きたかったのか。厳しい労働環境の中奮闘する教員の尊さ、1年生の成長、大人と子どもの間に立つ6年生の心情、などなど。小学校を舞台にすれば色々テーマは見つかるだろうけど、絞り込めばもっと深まるはず。好みの問題かもしれないが、表面を広くなぞった感じで、ちょっと物足りなさを感じてしまった。
余談だが、私の経験則で言うと、小中高を問わず音楽会の様子はその学校の品格をよく表している気がする。各自が自分の責任を果たしつつ全体の方向性も共有してこそ素晴らしい演奏が生まれるというもの。合唱でも合奏でも上手い下手もあるけど、指揮者の一振りに反応しようとする姿は、それだけでも感動させられる。
例えば学校教育のうち音楽活動にフォーカスを当てたとしても十分見応えのある作品になった気がする。
戦場や医療現場と並んでしばしばドキュメンタリーの題材になる教員現場。だからこそ見る私も期待がたかかったんですよね。決して駄作ではありません。