重厚な世界観とホアキン・フェニックスとレディ・ガガによるミュージカルシーンの見事なパフォーマンスが素晴らしくて満足……はしたけれど期待外れな部分もあったかな。ミスリードさえされなければ観て損はないと思います。なのでネタバレに目を通してから鑑賞するのが正解なのかもしれませんね。
アメリカでも大ゴケしてしまっている大きな理由は、たぶん“期待していたヤツが見れなかった”から。なにしろパート1はそういう雰囲気で終わってましたから期待外れはしょうがないのかも。
特にジョーカーともなるとアメコミのヴィランの中でも群を抜いて人気のキャラだと思うから、今回のようなミスリードは口コミにマイナスな影響があるんじゃないかなー、なんて思ったりもしました。つまり、作品自体は悪くなかったので、宣伝次第で大ゴケは避けられたんじゃないかなと…。「孤独な道化師アーサーはジョーカーになるのか。ならないのか。」…とでも言ってもらった方が、変な先入観がなく満足する人が増えていたのかもしれませんね(収益につながらないと元も子もないし)。
それはさておき、治安が悪くて落書きだらけの、70年代ニューヨーク風なゴッサムシティがいい感じで作品の世界観を作っていたと思います。こういう雰囲気は大好物。
あと、バイオレンス風味がブレンドされたミュージカルもセンスいいなぁ。さすがザッツ・エンターテイメントの国アメリカ。ホアキンのタップダンスにも見惚れてしまいました。そう、バイオレンスな雰囲気が全体に染み渡っているのについつい見惚れてしまう印象的なシーンが多いのが本作品の特徴。中弛みなくいつの間にかラストを迎えていました。
そして、このアーサーの妄想によるミュージカルシーンを織り交ぜることで、リアルとイマジナリーの境界線を曖昧にさせて、“アーサー”と“ジョーカー”の二面性の葛藤が明確になって作品に深みを与えていたと思います。