あかっか

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥのあかっかのレビュー・感想・評価

4.5
2024_127 ❸❺

誰も僕を愛してくれない

優しくない世界への反逆悲歌


とことん悲しい法廷ミュージカル。
やっぱりホアキン凄い!
あの身体、心配しかない。
でもあれがアーサーなんだよね。

悲しい気持ちに寄り添える方にのみ激オススメします!

以下、ネタバレあり。

最初に書いちゃいますが、これジョーカーじゃない。
まあ前作もそうだったけど、前作以上にジョーカーじゃない。
そして遂に『ジョーカーはいない!』
言っちゃったよ…。

ジョーカーとしてしか認められない、愛されないアーサーの悲しみ。
誰もアーサーを見ていない。
観客もきっと、いつジョーカーが大暴れするのかと期待しているに違いない。
あの裁判所の聴衆のように。

終盤、アーサーのあの笑いの発作が出た時に裁判長が言った「笑うな!法廷を侮辱するな!」
物凄く悲しくなった。なんでそんなことすらわかってくれないんだ。

全編そんな悲しみしかない。救いの女神と信じたリー(ハーレイ・クインになるんじゃなかったのかよ!涙)もアーサーには興味なしという現実。

唯一、アーサーとして接してくれたのはゲイリーだけだった。
あのゲイリーの涙だけが本作の救い。
(追記:監督のインタビューで「ゲイリーにとってアーサーは恐怖の対象でもあった」と。確かに・・・そうだ。喜びのあまりいちばん重要な部分を見落としていた。情けない)

悪のカリスマ、ジョーカーの完全否定。
祭り上げられる者の悲しみ、痛み、苛立ちを描いた傑作でした。

アーサーという人間を認め、受け入れください。
あかっか

あかっか