ずきに

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥのずきにのレビュー・感想・評価

4.2
とにかく画面内の絵力…正直別格だった。特にホアキンの身体・骨・猫背・表情どれをとっても怪演と言って間違いない。アングル構成は少し期待を下回ったものの日常に紛れる異端児の様子をここまで鮮明に描けることが素晴らしい。

ミュージカル映画への振り切りも評価したい。続編の内容としては既定路線だが裁判を中心に据える以上アーサーの心境というのは喋らせられない。ならば彼をはっきりと現実世界と妄想世界で分けて描く。その中心にミュージカルを置く判断は英断だろう。ただ難点なのは少し尺がありすぎたこと。基本設定として彼は妄想男なためどうしても分量として音楽が多くなるのはわかるが二人の会話劇から一曲ぐらい外すとバランスが取れていたかもしれない

前作も含め終始何かに導かれたい人間の物語であってその両面を全ての人が持ち合わせている。ジョーカーに救いはあったのかそもそも救いを向けるべき存在なのか大半を結局謎に包んだまま逝く。ジョーカー像としてはそれが全てだろう。

そしてゲイリーとアーサーはいわば同じ社会において同じ性質を持つ人間であり結局アーサーは自分を客観的に見ることでジョーカーとしての自分を終わらせた。ゲイリーは作中可哀想な役回りだったが彼こそ勇気を持ってジョーカーに対し心からの心境を隠さず話したヒーローだということを誇って欲しいと勝手ながら祈ろうと思う
ずきに

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