【まとめシネマ】#1145
【まとめ】
* 楽観主義のジョーカー
* 全てを乱すレディー・ガガ
* 世界中のジョーカーもどきへ
本作で描かれるジョーカーは、一言で言うと「楽観主義者」だ。前作でも描かれた彼の楽観的な妄想が、続編である本作ではミュージカルという大胆な演出に変化している。この演出が作品の賛否に大きく影響していると思うが、ジャック・ニコルソンが演じたひと昔前のコミカルなジョーカーを投影すると、本作のジョーカーには古き良きものを感じる。
本作の重要人物といえば、レディー・ガガ演じる謎の女・リーだ。ジョーカーの前に突然現れたミステリアスな女性で、ジョーカーに対して熱心な愛情を何度もアピールする。その結果、ジョーカーの狂気が蘇り、物語の全てを大きく狂わせる。
前作の『ジョーカー』は、世界中に衝撃を与えた。
アカデミー主演男優賞を受賞するほど大きな話題を呼び、従来のジョーカー像を一新した。一方で、作品に影響された事件が世界中で発生した。
前作の衝撃を踏まえて、本作はトッド・フィリップス監督のけじめだ。前作のファンであればあるほど、続編である本作の内容にショックを受けるだろう。ジョーカーはダサすぎるし、作中で描かれるジョーカー信者に強烈な既視感を感じるだろう。だからこそ、本作は結末も含めて監督の大きな覚悟を感じるものがある。
余談だが、10月に劇場公開されて、しばらくしてハロウィンが訪れた。テレビでは、ジョーカーのコスプレをする人がいたが、本作を見たせいでかなり冷めた目で見てしまう。