前作が悪の権化ジョーカーの誕生を、いささか陳腐でありながらも、魅力的に描いていて、なかなかおもしろかったので、その続編をどんな風に作るか興味津々でした。
ジョーカーの恋人であるハーレイ・クインをレディ・ガガが演ずるというのですから、期待はいやがうえにも高まったのです。
で、それ以外の予備知識一切なしに観に行ってびっくり。
結局、前作『ジョーカー』は、「あの」ジョーカーの映画じゃなかったってことにされちゃってるじゃありませんか。
これじゃあ、1作目の感動はひっくり返されちゃうわけで、1作目を楽しんだ人間には非常に不快なんじゃないでしょうか。
まあ、1作目の弱点は、悪の権化ともいうべきジョーカーが、あの程度の社会の軋轢で生まれちゃうもんなんだろうかというところだったんだけど、そこは、ホアキン・フェニックスの役作りのすばらしさのおかげで、力づくで感動させられちゃった。
で、よくよく考えると、あれでジョーカーとは片腹痛いわけです。
そんな1作目への不満に対する答えが、本作というわけなんでしょうか。
僕はてっきり、最後のアーサーの涙の訴えは詐病と同じで、無罪放免のための演技かと思っていたのですが、結局のところ、アーサーは社会的弱者のアーサーでしかなかったということになってしまいました。
とにかく残念。
雰囲気は良かったし、賛否の分かれるミュージカル調の演出も、僕は楽しく見られました。
ホアキン・フェニックスはもちろん、レディ・ガガも見事だったとおもいます。
それだけに裁判所の爆破以降の展開は、これはないだろうと思えてしまったのです。