三樹夫

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!の三樹夫のレビュー・感想・評価

4.0
ウ~ズを浴びたカメや虫などがミュータント化。地下で暮らし人間世界に憧れるタートルズ4人がゲロインと手を組み、今巷で話題のスーパーフライを捕まえれば英雄になって自分たちも受け入れてもらえるんじゃねと頑張る、カンフーになってゴジラになって進撃の巨人になると色々な要素モリモリのティーンエイジ映画だ。お前らの好きなもん全部ぶち込んどいたぞという幕の内弁当で、90sと現代の融合のごった煮。そもそもミュータント・タートルズ自体が忍者にカンフーにヒップホップと色々な要素ごちゃ混ぜの作品だ。この映画は人種や属性でいえばすごい幅の広い多様性を持つが、ミュータント・タートルズ作品自体の色々な要素を取り込んでいる許容度の高さがテーマと結びつき体現している。
ただしこの映画に取り込まれている要素は主にサブカルチャーで、ボンクラ趣味が世界を救ったみたいなオタク大勝利の映画だ。ミュータントの人間界の知識はネットで見たサブカル知識が主という敵も味方もボンクラ感が漂う。タートルズが護身術をどうやって身につけたかというと、ネットでカラテ映画やカンフー映画を観て真似しただけは笑った。スプリンターはジャッキー映画によく出てくる師匠みたいな感じで、というか声優がまんまだし、椅子は武器である。スーパーフライは『X-メン』を観て今回の計画を思いついただろ。

作画が左右非対称のキャラデザだったりで落書きで描かれたような作画になっている。監督によると授業中の落書きみたいなイメージで、作画にそんな10代のようなエネルギーを取り入れることで、まるでタートルズが自分たちで描いたように見せたかったとのこと。
劇中はほぼ夜の場面のみで、ライトが当たっている所は明るくそうでないところは暗くなっており、明るさ暗さも光量しだいでそれぞれグラデーションがあると、夜が意識された作画になっている。実際夜に私たちが見る景色が再現され、夜の当り前っちゃ当り前の風景なのだが、それをアニメで再現するという凄い作画になっている。ミュータントたちは夜の世界にしかいれないのが、光の射す世界へというのでテーマとも結びついている。
三樹夫

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