売れっ子建築デザイナーだった史郎は、仕事に行き詰まり久しぶりに実家に帰る。実家は親の代から続いた銭湯で、売り飛ばしてマンション経営をするつもりなのだ。しかし、弟の悟郎は首を縦に振らない。仕方なく銭湯の仕事を手伝う史郎だったが、風呂を愛するさまざまな人々と交流するうちに、この仕事の素晴らしさを知るのだった…というお話。
てっきり主人公が各地の温泉を巡る話なのだろうと思ったが、寂れた銭湯を舞台に展開する人情話だった。テーマは日本人とお風呂で、まあ、予想通りのストーリーが展開するが、湯道を極める人々や謎の風呂仙人、源泉掛け流し以外は認めない温泉評論家など、おかしな人物が登場し、飽きない工夫がなされている。
