sakura

ちひろさんのsakuraのレビュー・感想・評価

ちひろさん(2023年製作の映画)
2.5
良くも受け取れるし、うーんとも受け取れる。

原作未読だけれど、さすが今泉さんというだけあって世界が優しくてあったかい。

もちろんそういう全体的な良さはあるのだけど、ホームレスのおじいちゃんへの手の差しのべ方としていきなり自宅のお風呂っていう行動原理がちひろさんと同年代の女性として理解し難いし、「したくなっちゃった」って言葉もなんか風俗経験のある女性に対する見方が浅いなあと思ったり。

この、完全に受け入れられないわけじゃないんだけど、ほかの今泉さん作品みたいに「いい」に浸れないかんじ、なんなんだろうと数週間考えたんだけど、あれだ。

わたしはアトロクリスナーなのだけど、宇多丸さんがタマフル時代に「荻上直子作品」について言ってた『「わたしたち」以外の人にはめっちゃ冷たい、本当は怖い荻上作品』に似てる。
ちひろさんのいう「同じ星」は、荻上ワールドに同化した人たちに似てる。

(余談:荻上さん最新作『川っぺりムコリッタ』は、そんな宇多丸さんにもおすすめがくるほどいい作品らしいので観てみたい)

そりゃあ、ちひろさんと同じ星であったかく優しく生きられたらいいと思うけれど、じゃあわたしはおじいちゃん(赤の他人)の背中を流すか?って言われたら絶対に流さない。100万歩譲ってお風呂貸すとこまで。
それを「同じ星じゃない」と言うのなら、じゃあそれでいいです、と思っちゃう。

あとわたしがシングルだから、勝手にごはん食べさせたことに親が怒りに来るシーンは普通にわかる。
あの母親の言い方・殴り込み方には問題あるけど、そもそも「シングルマザー」を「ああいう見た目」で「ああいう仕事」で「ああいう家」に住んでて「子供に目が行き届いてない」という絵に書いたような描き方するとこが、ぜんっっっぜん優しくないんだがって思っちゃった。すんごい偏見じゃん

と、ここまですべて映画に対して言うこと、というよりは原作に対して言うべきことかも。

シンプルに今泉さんには、これからも今泉脚本のものを楽しみに期待したい。
sakura

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