根無草
浮き雲
そんな、ちひろさん
自分が幸せになることに興味がなく、周りの不器用に生きる人たちに手を差し伸べる。
ちひろさんに救われた人たちは、ちひろさんのもとに集まりこそすれ、彼女の優しくも悲しげな眼差しはどこから来ているのかには、気づいてあげられない。なかには、気に掛けてくれる人もいて、手を差し伸べてくれるけど、その優しさからは、なぜか彼女は逃げてしまう。自分には、その優しさに甘える資格がないかのように。
そんなちひろさんを見ていると、彼女の悲しみが、いつの間にかこちらの心にも沁み込んできていて、なんとなく物悲しくなってしまう。
彼女の逃避行のような人生に、いつか終わりは訪れるのだろうか、、、
映像化するにあたり、演技とセリフが馴染んでいないシーンがところどころあったのが惜しかったが、ちひろさんならではの心境に引き寄せられてしまう、独特な引力を持った映画だった。