港町の弁当屋で働く元風俗嬢の“ちひろ“が様々な人々と交流する姿を淡々と描いたヒューマンドラマ作品。
自分の過去を隠すことなく、どんな人に対してもフラットに接するちひろの姿は、先入観を持ってしまうことのつまらなさを伝えているような気がした。
ちひろとの交流によって人々が抱える問題がすぐに解消される訳ではないんだけど、彼女を通してまた新たな交流が生まれ、少しずつみんなが良い方向に向かっていくような暖かさを感じる物語だった。
孤独を手放さず自由に生きるちひろだからこそ、彼女と接した人々が自身の抱える孤独や不安を素直に受け入れ、他者と交流する大切さに気付かされるのだろうか。
本作では心が軽くなるような名言がたくさんあって、特に印象的だったのは「僕たちはみんな人間っていう箱に入った宇宙人なんだ」というセリフ。
みんな違う星から来たんだから家族でも友達でも分かり合えなくて当然なんだという考え方で、人間関係で悩んでいる人の心を軽くするセリフだったと思うし、だからこそ同じ星出身の人を見つけた時に嬉しいという考え方もオシャレで素敵だと思った。
