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リベンジ・スワップの都部のレビュー・感想・評価

リベンジ・スワップ(2022年製作の映画)
3.6
単純な勧善懲悪の復讐劇のようでひと味の捻りが効いているのは面白く、前半と後半で物語の構図が大きく変化する仕掛けは、初期設定の面白さに甘んじずに二転三転と物語を掻き回すことで観客を楽しませる愉快な脚本で好感が持てる。

しかしながら中盤に迎える劇的な変化に対応出来ないまま物語が結末を迎えてしまうことで、登場人物の感情に納得のいく心理描写が追い付いておらず、結果として場当たり的と感じる収まりが良すぎる本作のオチは、最後の最後で口惜しさを感じさせるようだ。

本編は現代の学生ならではの痛烈な皮肉に溢れていて、作中に登場する『嫌な奴』として上げられるのが外面が良いだけの活動家気取りの阿呆どもという設定が大変笑える。女性の味方を標榜するも実態は家父長制の体現者であるドレアの元彼氏の邪悪ぶりは、今の時代では普遍的な悪者像として受け入れやすく、彼を初めとする嫌な奴への復讐に対する容赦のなさは観客にもしっかりと共有される爽快感に繋がっている。

かように作中の人物は語り部も含めてクソ野郎で統一されており、見方を変えればドロドロとした復讐劇を極めてポップな物として見せているのが特徴的だ。色彩や演出もまたこれに連なる形で、内容の割に遥かに見易い味わいなのは魅力的である。

前述したように、本作は良い意味で軽薄さを帯びた魅力的な復讐劇であるが、終盤の虐めの加害者/被害者の中に介在する消えない怨嗟を単純化することで浄化させる展開はやや安直であり、映画としては惜しさを感じさせる出来に位置している。
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