失われゆく伝統工芸、国際結婚、在日外国人、テロリズム......人権を語る上での諸問題を詰め込み“家族”の本質を問いただすヒューマンドラマ
役所広司の役者としての貫禄によって重厚なドラマに仕上がっているものの、やや詰め込みすぎかつ処理しきれていない感もある。
吉沢亮周りのエピソードも、そんな中盤終わりまで引っ張る必要があったのかとも思うし、逆に半グレをそこまで重点的に描く必要あるのかと思う。
要するに、この世の理不尽に対してどう受け止めどう対応していくのかという所が肝になってくるのだけど、そこを過剰に劇的に描いてしまったためにメッセージ性が薄れてしまっているきらいはある。
学とナディアの顛末をああいう風に撮るのも無駄な感動を誘っているようにしか感じないし、性行為の描写もなくても二人の関係性は伝わるので余計にしか思えない。
逆に役所広司と団地との交流だったり、彼の過去にもう少し踏み込んでテーマにリンクさせる部分を作るということに時間を割いたほうが、ラストの彼らの決断がより切実なものになったのではないかと思う。
