片山幹生

少女は卒業しないの片山幹生のレビュー・感想・評価

少女は卒業しない(2023年製作の映画)
3.7
卒業式前日と当日の4人の女子高生のはかなく、せつない恋を美しく描く青春《少女》映画。女子高生青春映画の傑作、つみきみほが出演した中原俊監督『桜の園』を思い出す。各高校生の世界、内面を丁寧に描き出す秀作ではあるけれど、こういう清廉で抑制された理想少女像が映画としてぬけぬけと具現化されていることに若干の抵抗、気恥ずかしさも感じる。図書室に通う内向的な少女、作田詩織が一番可愛らしく、彼女のエピソードが一番すきなのだけど、彼女の恋の相手である青年国語教員が、常に敬語でしゃべり、穏やかな笑顔でその少女と二人きりで向き合っている、というのがとても気持ち悪い。少女に対する性的欲望はあきらかなのに、それをわざとらしくとりつくろう善人的人物造形がされているところが。