のぞみ

少女は卒業しないののぞみのレビュー・感想・評価

少女は卒業しない(2023年製作の映画)
3.8

高校生までとそれ以降の人生は、ちょっとだけちがう。
制服を着て、同い年の子たちが集まって勉強したり、部活をしたり、恋したり、あの瞬間にしかないなにかがたしかにあって、あたしにとっては窮屈な水槽のようにもかんじていたけれど、こうして卒業をテーマにした作品を見ているといろんなことが蘇ってきた。

セリフなの?と思うくらい自然な会話のやりとりが高校生らしさをリアルに描いていて、没入させてくれる。
あたしにもこんな高校生活がたしかにあった。
わすれていたわけでもなければ、思いだすこともすくなくなった、そんな時間を。
あの頃は、そこがすべてで、その先になにがあるのかもわからなかったけれど、30歳を過ぎたいまからするとなんてことのない通過点のようにかんじる。
あのときの、あの瞬間のすべてをあたしはどうやら一生懸命生きていたようだ。


閉塞感、スクールカースト、いやなことも多いけれど、あたしにも味方でいてくれる本があって、たくさん読んで守られていた。
ゆえに、作田さんに共感することが多かったです。先生ともあんなふうに仲良くしてもらっていたので、思いだすことなんて歳を重ねるごとに減っていた高校時代がごちゃごちゃな感情とともにあふれて、くるしくなる。
なんともふしぎな魅力にあふれた作品でした。
この時期に観られてよかった。
のぞみ

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