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大名倒産のmasatのレビュー・感想・評価

大名倒産(2023年製作の映画)
2.9
なかなか面白く、ノせられて最後までいくのだが、よく出来た脚本を映像化するに当たっての、脚本=活字を超越する、映画的なあの瞬間、脚本には表せないあの瞬間がない。
脚本を超越しない、書かれた通り、キッチリ画にし、全般的にそれなりだけで、
勝負どころのメリハリがない、と言おうか。

例えば、浅野忠信、松山ケンイチのここぞと言う見せ場がない。ここ、愛情の賭けどころ、映画の厚みを増す処。
三兄弟の不思議な結びつきも不充分。さらに神木と杉咲の、お互いをリスペクトする、即ち恋の始まりくらいの布石が、あのエンドロール後の強調があるのなら、尚更欲しい。
その代わり、大悪党だったラスボス佐藤浩市に気を遣い過ぎ、出し過ぎて散漫、グッとくる感動ポイントが薄く、臍が効かない。“自己責任”と言う表示が笑わせるが、実はこの旧世代の殿様、自身を良く解っていたんではないか?と垣間見せるのだが・・・

逆に。毎度の役処である勝村政信、梶原善が、自力で(あろう)奇妙な味を発散し、凄味があった。唯一の笑わせ処。
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