さくらこ

アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスターのさくらこのレビュー・感想・評価

4.7
これは映画館で観るための作品。

最高に爽快で、最高に胸糞悪かった。

科学vs自然 の構図は
先進国vs途上国 の構図に見え、
帝国主義やオリエンタリズムなどといった人間の歴史をオマージュしているように思われる。

そう考えると、アバターの大まかなストーリーは実はそんなに新しくない。むしろ、あまりに普遍的なテーマを主軸に置いているように感じられる。

それでも、観た者が没入し、熱狂するのには仕掛けがあるのだろう。

圧倒的な映像美という仕掛けは言うまでもないが、私は敢えて主人公のジェイクに注目したい。

ジェイクが、ナヴィやパンドラに対して観察者にならなかったことは、演出としてきっと意図されているだろう。

「これは何?」「なぜ?」などナヴィの文化を質問攻めにしない。ただそこで生活する。このジェイクの在り方は、パンドラを下に見ていなくて、徹底的にフラット。鑑賞者はジェイクの目を借りてパンドラに生きるため、鑑賞者もまたナヴィやパンドラに対してフラットな目線を向ける。そんな演出になっているように思った。

アバターはこうして、文化人類学の立場からまなざし論を展開することができるのがまた醍醐味だ。

【以下、個人的備忘録。】
前作は中学生くらいの時にテレビで見て、映像きれい〜と思ったくらいの記憶だったが、大人になって、勉強して、いろんな見方をできるようになった。

母が「青い人間が気持ち悪い」と言っているけど、そんなことないのになと子どもながらに思った記憶。当時、面倒だから言い返さなかったが、この色のチョイスにも意図があるはずだと今なら思う。考察したい。

CGで、細かなところまで全て人間の手で描いているからこそ、細部も制作者の意図が反映されているはずで、その意図を想像することも本作の楽しみ方なのかもしれない。
さくらこ

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