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名もなき人々の戦争の010101010101010のレビュー・感想・評価

名もなき人々の戦争(2021年製作の映画)
4.5
この映画、「現代史」の時間に見せるといいと思う。
この国のクレイジーな歴史が、非常によくまとまっている。
こうして戦後、今度は「米国の植民地」として今に至る、というわけだ。(その後、日本(人)がいかに主体性もなく、名ばかりの民主主義のもとで米国の都合のいい飼い犬になってきたか、という続編も作られるといいね!)

戦争前夜(1920年代)からの推移がちゃんと見えるし、「天皇」がいかに都合よく戦争利用されていったかも描き出される。
対馬丸、東京大空襲、沖縄戦のエピソードなども、その事実は知ってはいたが、改めて印象に残る。



ところで先日、この映画を評価するにあたり、「「NHKスペシャル」が1000本束になっても敵わないクオリティと密度」って書いてるのを読んだのですが、この映画を観ていて、途中から、その発言に対して怒りを覚えてきたんですよね。
たしかに「NHK」ではなかなか出せないような部分も多少あったにせよ、クオリティに圧倒的な違いがあるとも思えなかったし(例えばこの映画と、「Nスペ ビルマ絶望の戦場」や「ETV特集 久米島の戦争〜なぜ住民は殺されたのか」といった番組内容の衝撃度を比較することに、何の意味があるだろう…)、また、個人的には今作のような「映画的密度」「映画的文法・構造」でまとめ上げるよりも、もっとひとつひとつの事象に時間をかけて迫り描いてゆく方が好みといえば好みだったりもするワケで。(個人的には、この内容を数回にわたるシリーズに分けてもらった方が、よかったように感じられるところもあった…。映画化に際して、かなり多くのものが削られているだろうことも目に見えている)。
そもそも、先のコメントのような、一見何の悪気もないキャッチーで扇動的な言葉こそが(いや、悪意を含んでるのは明らかだけど…)、戦争を煽り、戦後の消費資本主義(これはこれで戦場に他ならない)を煽ってきたのであろう。あるいは、「いいね!」がもらえそうなものの言い方に無自覚に慣れきってしまっているだけなのかもしれないが、いずれにせよ軽蔑する他ない。