Paula

ヴィーガンズ・ハムのPaulaのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

人肉は最高のテイスト!!  頂きまぁ~す💑


合言葉は ・・・ "V Power!!"

旧約聖書のレビ記の説話として、彼らは敵に包囲された後に、神が与えられた約束の地から放逐されるという裁きを受ける。その中で起こっていることが凄惨すぎる。親が自分の幼子を食べているという状態となり、それがバビロンに包囲されたユダで起こっていた。
You will eat the flesh of your sons and the flesh of your daughters.
(レビ記26章29節より)
少し抹香臭いというか、仏教ではないけれども今、カルト教団が話題なので聖書の中にもアントロポファジーの事が書いてあったので載せてみました。

Put the rest of her body in the
refrigerator, ate her (Too Much Bloodの詩の抜粋)
ストーンズの♪Too Much Bloodの歌詞に今から約40年以上前に、この映画の生産国と同じ、おフランスで日本人男性がオランダ人女性の肉を頬張ったことを題材にディスコ調にアレンジした曲を発表していた。

日本人は本当に人肉好き... なんちゃって?
古くは日本でも王族であった方は7人ほど食した逸話があるらしい。だから昔は人肉を食べていた人が思ったよりも結構いるという事。
長い、冗長な前置きはこれぐらいにして...?

『スウィーニー・トッド』から『デリカテッセン』まで人肉入りのこま切れ肉やハムは人気があるのよね💕
この映画に関しては、前半は少し、ブラックが強くて笑える場所がなかったけれど50分過ぎ頃からエンジンがかかりだしたように陽気に夫婦そろって殺人を繰り返すあたりから調子が出て来て見ていても楽しくなってくる... 少し不謹慎でした。失礼!?

本作『ヴィーガンズ・ハム』は脚本の下書きの段階では、ヴィーガンの視点から書く予定だったものを脚本家でもあるファブリス・エブエ監督が、いくら健康志向の高いフランスと言えども反ヴィーガン派の方が圧倒的に多いので心情的に共感できる部分が多いと考え、書き直し改変する事に...

脚本を書き、監督を務めたファブリス・エブエ監督は主人公のヴィンセントを演じる為に体重を約12kg増量し、わざわざハゲ面にもし髭も伸ばしたと聞く。そんなところが愛妻家と思えば実はヴィンセントは恐妻家で奥さんであるソフィーが冷血にも微妙な距離をとり、彼を尻にも敷いてしまっている。何と言っても夫のヴィンセントに対して、怒りもせずシニカルに無言な彼女が普段から目力が強くて2度目の殺人をためらうヴィンセントに嫉妬心をあおって怒りのあまり殺させるあたり知能犯的なところもある。
そして殺人を繰り返すあたりから二人の仲が修復されエッチもしピクニックにも二人して仲良く出かけたりもしだしだす。ただし、ヴィーガンを見つければ即、殺す!

この映画はブラック・コメディではある。あるけどそれを考えると人の体を切り刻むシーンを見せるのは意外で、しかもコメディとは考えられないほど人体のギミックがある意味、気色の悪いのを通り越すほど精巧に出来ていて、特に男の方の大事なところをヨーロッパの映画では小道具として活躍しているのを見たのは初めての経験で、それが愛犬の餌って「はぁ~あ~?」そのワンちゃんが要所要所でいい塩梅の演技をかましてもくれている。
だからこの映画を悪趣味と簡単に断罪するのではなくて、新感覚の悪ふざけの範囲のアイロニーなジョークのつもりでご覧になると映画を楽しめることが約束できるかもしれない。
それと音楽を担当したギヨーム・ルーセルの才能が光っている。長年に渡り、オーストリアの第二の国歌と呼ばれるほどの名曲をヴィンセントが死体を切り刻む時にフィルム・スコアとして使い、久々に聞いたニューシネマの旗手『イージー・ライダー』の冒頭の曲、ステッペンウルフの ♪Born To Be Wildを夫婦が手に手を取って二人して殺人を犯す残虐なシーンをよりブラック・コメディ調にする味付けの為に使われ、それが変な事にマッチもしていた。

この映画の中途半端なところは、娘の恋人のビーガン野郎をいつ八つ裂きにするのかを期待していたのに   怒る(ꐦ°᷄д°᷅) ネタバレです。
ただ不思議なのが、終始とてもテンポよく進む場面展開なのに何故かラストの締めくくり方のアッサリ感だけが不思議なくらいにシナリオとしたら映画の質が少し変わっているようにも感じた。
「それで終わりなの?」って感じかな。でも...映画としたらおなかいっぱいで満足度は頂点に達し、すみません... お代わりはもうできません。

ご馳走様でした!!!
Paula

Paula