福田村事件を見てきました。
重いですし暗いです。まさに人の闇ですが誰の中にもある闇、正義感が人を迫害したり殺したり仕向ける闇ですね。
中世で言えば異教徒を殺す、古代で言えば異種族を殺す、戦時でいえば敵国民を殺す、現代でいえばネットで叩き潰す。それはそれぞれの時代ごとの、国ごとの、文化ごとの正義感なのですが正義は常に変わっている。
そして偏向教育や誤報、作為的フェイクニュースなどで正義感は過熱し加速して殺人に走らせる。(現代では主に心理的に言葉で撲殺する)
私ごときでもたった数十年で世の中で正義とされるものが変化して来ていることに気づく。
例えば今は児童虐待はごく非道的と見做されるが子供を叩いたり働かせることは少し前まで広く見られた。飲酒運転でも今は重大な犯罪だが20年ほど前まで多くの人がしていた。
この100年前の朝鮮人(と間違われた行商人)虐殺も今の常識で見るのとは全然違ったのかと思う。(ただ逮捕されているので当時でも許されないことではあったのかもしれないが…)
そして史実かわからないが記者役の女性は朝鮮人の人権のために奔走しており正義感の時間軸は人ごとにも異なっている。
もしかしたら将来の正義は動物愛護が進み昔の人は牛や豚を殺して食べていた、恐ろしい残虐な歴史となっているかもしれない。
とにかく映像は生々しくかなり踏み込んだ撮影。人妻と貫通して村八分にされている船頭に今の東出さん、キレまくる在郷軍人に水道橋博士、真実の報道と内務省の偏向報道指導に揺れる新聞記者のピエール瀧、朝鮮人と間違われる特殊部落の行商人に永山瑛太、などかなり攻め攻めに攻めた配役もあっぱれでした。
シネリーブル梅田、満席に近いお客さんで驚きました。
事件は関東大震災5日後の23年9月6日、福田村の利根川河畔で、香川から来た行商団15人のうち幼児や妊婦を含む9人が、福田村と隣の田中村(現柏市)の自警団に惨殺された。震災直後から「朝鮮人が略奪や放火をした」といった流言飛語が飛び交うなか、聞き慣れない香川の方言を話す一行が朝鮮人と決めつけられ、警察官に「日本人だ」と言われても納得しない自警団に襲われた。遺体は利根川に流されたという。
スタッフ
監督:森達也
音楽:鈴木慶一
キャスト
井浦新
田中麗奈
永山瑛太
東出昌大
コムアイ
木竜麻生
松浦祐也
向里祐香
杉田雷麟
カトウシンスケ
ピエール瀧
水道橋博士
豊原功補
柄本明