中崎アキト

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの中崎アキトのレビュー・感想・評価

3.7
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンを観てきました。

▶︎1920年代、オクラホマ州オーセージ郡。先住民であるオーセージ族は、石油の発掘によって一夜にして莫大な富を得た。その財産に目をつけた白人たちは彼らを巧みに操り、脅し、ついには殺人にまで手を染める。◀︎

とにかく206分の長丁場なので見るかどうか悩みましたがスコセッシ、デニーロ、ディカプリオなのと先住民という題材が自分好みなので行って参りました。

映像は美しい。アメリカのプレーリー大草原や1920年代のランプ生活の陰影や調度品を背景にした生活ぶりが美しい。
ラストの色鮮やかな衣装を纏ったオーセージ族の儀式を俯瞰で撮った映像も趣深い。

原油が沸いた金持ちインディアンとそれにヘイコラして運転手やメイドを白人が引き受ける社会。
でも金持ってるからチヤホヤしてるけど心の底ではインディアンを見下している白人像が見え隠れする。
インディアンは裁判で原油の利益を享受する『受益権』を勝ち取っておりこの受益権を横取り相続するために婚姻したり殺害したりする白人連中。
白人同士の中でも仲間に見えながら裏切りや陥れがある。

悪に徹するデニーロ、軽薄なノリで片棒担いで深みにハマるディカプリオ、知的で孤高(なのになぜか軽薄白人とあっさり結婚するのが不思議)なリリーグラッドストーン。
それぞれ最高の役者が揃っているのだと思うけどなんか間延びしてると言うか。
もう少し焦点強く当てるパートと簡略化や省略していい事件と分けたら観やすいし感情も入れやすいと感じてしまいました。
 でも役名とかも全て実際の事件の人物名みたいなのでドキュメンタリーというか全ての殺害事件の背景を省かず描きたかったのかな。

それにしてもデニーロさんもスコセッシ先生も80歳か…いつ遺作になってもおかしくない。
ディカプリオさんも48歳、デップリ貫禄良くなってしまって女に一目惚れされる役は流石に無理あるように思いました。
中崎アキト

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