ドキュメンタリーを得意とする森達也の作品だけあって、訴えかける力が凄まじい。この事実を残しておかなければならないという強い気持ちがバシバシと伝わってきた。結末がわかっているからこそだろうか、ここから人が狂っていき、殺戮が始まるという過程において、胸がざわつき苦しくなった。
田中麗奈が浮気しておいて、それを見ていた井浦新に「見ていたならなぜ止めてくれなかった」というやりとりがあったが、あれは正直胸くそ悪い。しかし、朝鮮人の虐殺でなく、妻である自分の不貞すら目の前にしておきながら止められないのかという訴えは、人種ではなく対個人レベルにまで落とし込むことで、誰の心にも刺さる仕掛けになっていたように思う。
東出が間男を演じるのはプライベートでの出来事も含め、ハマり役のように感じ笑ってしまった。コムアイもとっても演技が上手で良かったが、この映画の見所は水道橋博士かもしれない。エンドロールで名前見るまでわからんかったわ。
