ちゃわ

福田村事件のちゃわのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.0
好きな作家がたまたまこの映画のことをTwitterに書かれていて、気になって見に行きました。

内容は、関東大震災の後、朝鮮人が火をつけた、井戸に毒をもったなどといったデマが広がり、6000人もの犠牲者が出たうちの一つの話。千葉の福田村に四国の讃岐から行商人が来ていたのだが、数人が落ち着いてと止めるのも虚しく、言いがかりをつけ、彼らを朝鮮人だと決めつけて殺害してしまった。

デマは、当時の警察が言いふらしていたというから、恐ろしい。日頃朝鮮人を虐げていたため、いつか彼らが逆襲してくるのではと恐れ、この機に便乗して一気に叩きたかったのかもしれない。新聞も、これに便乗して記事をでっちあげ、人々に誤った価値観を植え付けた。

序盤、艶かしいシーンが続き、やや戸惑ったが、この村の田舎臭さ、世間体、偏見や空気感がよりリアルに感じられ、なぜ事件が起きてしまったのか、絶妙に繋がっていったと思う。

見てもいないのに噂を信じ、拡散し、勝手に恨み、見知らぬ人まで殺してしまう群衆。それは今のSNSにも似ていて、余計辛くなった。また、この映画を上映してくれる配給会社が見つからず、クラウドファンディングから始まったという事も、今だに都合の悪い事は伝えない社会で、何も変わっておらず、とても残念に思う。

1人でも多くの人がこの映画を見て、何を信じ、何を話し、どのように行動すべきか、考えてほしいと思った。
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