こそばす

福田村事件のこそばすのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.0
私の祖母は戦前、新婚の頃に大阪の朝鮮人街の近くで家族で住んでいた。
幼き息子が言葉を覚え始める頃、近所の朝鮮人の影響で母の事を
オモニ!オモニ!
と言う様になり「ここでずっと住んではいけない。」と思ったそうだ。
息子が朝鮮人と間違えられ、差別されるのを恐れたのだろう。
祖母は熱心なクリスチャンで、人種差別をする様な人間ではないが、世間からの差別を恐れたのだ。
本人が差別の心を持っていないとしても、世間の同調圧力には勝てない。この映画で描かれている様に、それが差別の恐ろしさだ。

さらに、もう一つの差別、被差別部落問題。
中学生の時、全校集会で被差別部落問題をテーマにした授業があった。
その時に全校生徒の前で熱く語った先生がいた。
正直、話の内容ははっきりと覚えてはいない。だが、差別はダメだという先生の必死な気持ちだけは、何故か強く印象に残っていた。
実は、先生は被差別部落出身だった、当事者だからこその想いがあったのだと思う。
あの時の先生の必死な顔は、今でも忘れられない。

この映画を観て、そんな事を思い出した。
とにかく、素晴らしい映画だった。
たくさんの人に観てもらいたい。
こそばす

こそばす