国家権力

福田村事件の国家権力のネタバレレビュー・内容・結末

福田村事件(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

関東大震災の直後に飛び交った「朝鮮人が井戸に毒を流している」や「朝鮮人が火付をしてまわっている」のデマが飛び交い、自警団やらが朝鮮人や社会主義者を虐殺していた。
そんな震災渦中の最中、讃岐から福田村へと訪れた15人の讃岐の行商人が朝鮮人と誤解され9人が虐殺された実際の事件を元に『A』や『Fake』などのドキュメンタリーを手掛けた森達也氏が監督を務め映画化。

服やら小道具やらお顔やらが田舎の百姓とは思えないぐらいみんな小綺麗なのがちょっと気になった。

差別の根底にある恐怖心や群集心理についてものすごく考えさせられる。
震災後に流言飛語で朝鮮人虐殺が行われた、というのは文字情報で一般知識として持っては居たが、そこまで思いを馳せたこともなかった。

こういう愚かな過ちこそ歴史として学ぶべき事象だとは思うが、学校では教えてくれない。
穢多についても「"えた"という皮製品作ってた人が居たよ、あと差別されてたって」とふわっとしか教えてもらえなかったな。

そんもんだから福田村事件については特に知らずに本作を鑑賞。
知らずともタイトルや題材である程度察しはついていたが、やはり行商人虐殺シーンは心拍数が上がり、涙腺が緩んだ。

「嫌な人」や「間違った人」はたくさん出てくるが悪人らしい悪人は出てこない。
誰が悪いというわけではなく、混乱と恐怖心は集団を悪魔に変えてしまうことが痛々しく理解る。

いい作品だけど、東出が不倫しまくりで、どうしても杏やら唐田えりかが脳裏をよぎるのがね、まぁね。
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