キャリーブラッドショー

福田村事件のキャリーブラッドショーのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
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情報過多で何が正しくて何が間違いか
分からなくなるような今だからこそ
観るべき映画だと思う
人間の愚かさと過ちに向き合って
二度と繰り返す事のないよう

集団心理の恐ろしさ、世論の強さ、
恐怖に取りつかれると
人の思考回路は鈍ってしまう
大切な家族、村を守る為
正義として向けられた矛
しかしその顔は悪魔そのもので
観ていて怒りが沸いてくる作品だった

朝鮮人だと責め立てられる場面
あらゆる手段で日本人だと証明しながら
潜り抜けていく非常に緊迫した状況で
放たれた「朝鮮人なら殺してもいいんか」の一言
この言葉の重みがのし掛かる
あの場で自分の身を守る為なら
絶対に発しない方がよかったであろう
あの台詞に強いメッセージを感じる
みんなスタート地点から間違っていた
私もそうだ
心の中で彼らの潔白を訴えていた自分にも
ハッとさせられた
朝鮮人への差別を無意識に受け入れていたのだ
恐ろしかった
鳥肌が立つほど秀逸な台詞だった

朝鮮人への差別だけでなく
穢多やハンセン病患者への扱いも
差別そのものの悪を知らしめる重い映画だった
自分達人間の愚かさが凝縮されていて
直視するのが辛いけど
目を背けず向き合うべき現実がある
決して昔話として終わらない
今を生きる人皆が観るべき映画