幽斎

ストールン 消えた女優の娘の幽斎のレビュー・感想・評価

3.0
C級スリラー(ホラー)をレビューする、Scavengerシリーズ第10界。原題「Stolen」盗まれたモノ。ですが、製作当時の原題「My Daughter Was Stolen」。タイトルが何故改変されたか?、まぁ誰も興味無いよね(笑)。AmazonPrimeVideoで0円鑑賞。

本当は2017年劇場公開作品。が、製作したWTMDが倒産と言うか夜逃げ。因みに夜逃げは「Flyby-night」。お蔵入りした作品を買い取ったのは、北米9000万世帯が視聴するペーパービュー局「Lifetime」。放送時間90分に収まる様に作品を裁断、お茶の間OKのレーティングTV-14まで下げた。結果、エログロは削除され2018年3月「Who Took My Daughter?」として放送。

需要が急増してる配信作品として「Stolen」改題して売り捌く。Lifetimeの視聴層は「白人」「中間層」「主婦」、白人以外を主人公にキャスティングしない。黒人が居ない作品も珍しくないが、劇場作品で主流とされる「Black Lives Matter」を全く気にしない。嫌なら見るな、世論の反発を無視するテレビ局に本作は最適だった。配信作品のタイトル・ロンダリングは日常茶飯事なので、目くじらを立ててもしょうがない。

Don E. FauntLeRoyは撮影監督を長く務め、Steven Seagal主演「イントゥ・ザ・サン」来日した事も。セガールの頼みで「沈黙の脱獄」「沈黙の傭兵」「沈黙の報復」監督に昇格。シリーズが途中で脱線した「アナコンダ3」「アナコンダ4」も彼の作品。スパイダーマンの派生作品「SPEED MAN」とか作家性の無い、良く言えば仕事を断らない職人監督。本作では初のスリラーに挑戦。

脚本を書いたRichard Brandesは前作「真夜中の同乗者」プロットは良いのに演出がダメダメ、本作はLifetime社が買いそうなサイコ女がセレブ女優に嫉妬して娘を誘拐、何の目新しさも無く、ソレは日本では「ありがち」と言う。Lifetimeのドラマは火曜サスペンス劇場よりも捻りが無く、奥様がお料理を作り乍ら手軽に見れるドラマしか放送しないので、作品をブツ切りにされた監督の本音も聞いて見たい。

監督が腐心したと思われるスリラーの定石外しも垣間見え、タイトル通り奪われた娘を奪還するクライマックス、と誰もが油断した隙を突くRichard Brandesらしい展開も有るが、編集の裁断で10年がアッサリ流れるとか、犯人が酒飲んで妊娠して車に撥ねられ流産して人生のドン底、再現ドラマのテンプレなのは如何なモノか、知らんけど(笑)。

Lifetimeなので暴力シーンが豆腐の角に頭をブツけるポンコツはご愛敬。スリラーとしては不合格だが、旦那のアレとかドラマパートはしっかり出来てた。カーチェイスも劇場公開の雰囲気だけは残されてた。監督は次作で初のホラー「ゲート・オブ・ダークネス」ネパール製作!だが、大コケした(笑)。別な意味で手堅い手腕は今後も目が離せない。

アマプラ・サスペンス劇場として及第点。クズ人間の見本市なので暇潰しに為るかも。
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