スティンプソンGon

ヒトラーのための虐殺会議のスティンプソンGonのネタバレレビュー・内容・結末

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

淡々と進む会議にここまで怖さを感じることはなかなかない。
これだけの人数が集まって己の立場や権威別部署との対立などがありつつも全員根底にあるのはユダヤ人の絶滅という一点だけは揺らぐことがないのが恐ろしい。
しかも、ユダヤ人絶滅に対しての表現を極力「最終的解決」などと表している所を見ると、人命を奪うことに対する道徳的な善悪は持ち合わせているように思える。けれどもユダヤ人の命を絶つ事に対しては別物と捉えている。
どうして彼らはここまで人種として拒絶をするのか自分はまだ知らない。

アイヒマンに対する見方もまた少し変わった。他の映画で見るアイヒマンは尊大でトップ、リーダー的なイメージだったが今回は下っ端のエリート彼が法廷で弁明した事もこれを見ていると頷けてしまうと感じるのが悲しい。

もし、この映画を見て退屈だとか眠たいと感じる瞬間があったのだとしたら、実際に会議に出ていたも同じだと思う。内容に疑義を持つことを一瞬でも忘れるはずがない映画なのにそれを忘れる瞬間があるほどに異常な会議だということを実際に体験しているのだから。
これこそ映画だからできる体験だと思う。映画館で見れて良かった。

2023,13