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ヒトラーのための虐殺会議のrinaのレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
4.0
余計な演出一切なし、会議だけの112分。
本物の議事録をもとに映像化。
BGMさえない。ただ淡々と議論が続く。
普段なら人ならず、必要以上に悪役演出されるナチも普通の官僚として、軍のメンバーとして描かれる。

感情的にもならず、普通の会社の会議のように、極めて理性的に進められ、その議論は見応えさえある。
各々の立場や各種根拠となる数値、事前根回し…
倫理や平和という言葉さえ出てくる。

会議が予定通り終わって、映画も終わって、すごい面白い議論だったと思いかけそうになるが最後の無音のエンドロールで一気に怖くなった。

この人たち全員の、全員の常識のラインがおかしい。

ずっと見ていると、彼らの常識に納得しそうになる。慈悲とか倫理とか最後の方は特に引っ張られそうになるが、違う。
根本的にずっとこの作品はおかしい常識に則って話がされている。

ちょうど小説「同志少女よ、敵を撃て」を読み終わっていたので、何となくのドイツの戦況がわかってたので、より理解できた。
これから見る人は、この会議のWikipediaと1942年付近のヨーロッパ戦線をざっと把握しておいた方がよさそうです。
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