最近、歳をとってきたせいか、人って色々だなぁと、若い頃より強く感じるようになってきた。若い頃は、自分自身の社会や視野も狭いから、他の価値観に触れることすらないことだってあるし、他の尺度も持たないから、自分の価値観や尺度で「こうあるべきだ」「こうでないのは許せない」などと決めつけがちなのではないだろうか。
他の価値観の存在を受け入れる（承認する）ことは、自分がそれを好むか好まないかとは別の次元なのだと思う。それを受け入れられなかった存在として、稲垣吾郎が演じた検事が描かれていたのだろう。
けれども、自分の息子が配信している動画に興味を示そうともせず、いい加減な弁解と決めつけて机をたたき、他の価値観をあり得ないと切り捨てるようでは、決して立派な検事ではない。職業にかかわらず、こういう人が（多く）いることが、この映画の登場人物たちを生きにくくさせているという表現なのか。
余韻を残す秀作だった。
