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正欲のmiuのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

「多様性」という言葉は、マイノリティを理解する側だと思っている人々が使う、傲慢な言葉かもしれない。結局人は自分の想像できる範囲でしか物事を捉えられない(マイノリティの中のマジョリティまでが限界)ので、軽々しく発してはならない言葉だと改めて認識させられる。

特に分かりやすいと思ったのは、ダイバーシティをテーマにした学祭で、ダンスサークル代表がメンバーの大也に対し、普段踊らないワック(ゲイ文化がルーツ)を踊ればよいのでは提案するシーン。多様性を尊重するってこういうことでしょ?という押しつけでしかないけれど、私自身もこういう発想をしかねないなと少し怖くなった。自分の言葉1つで誰かを傷つける可能性がある事を忘れずにいたい。

『正欲』では奇跡的にマイノリティ同士が出会い助け合うが、必ずしも出会えるとは限らない。自分の物差しではかれない価値観や嗜好を持つ人に出会った時、「そういう人もいるだろう」と存在を認識し合うことが、生きづらさの軽減につながるかも。

東野絢香さん、初めて知った女優さんでしたがとても上手だなと思いました。猫背も喋り方もイメージ通りの八重子だった。
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