acqua

正欲のacquaのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

原作は読んでいないので理解が及んでいないこともあることはご承知置きいただいて、以下に映画の感想を。

「普通に」という安易な言葉で安易に押し通されるマジョリティーの価値観に抗う思考実験として立てる仮説みたいなテーマだとおもった。
であれば。
水に対して性欲を感ずる人がいて、その人が朝ごはんを食べながら水の動画を見る、とか、「昼間の公園で水で遊ぶ様子を動画に撮る」というのは、性欲という社会生活上は秘めておきつつも、心許し愛するパートナーとだけ共有する喜びとして、あまりにあけすけすぎるのではないかという疑問もある。
愛を交換するパートナーはこの場合、水である。
抑えきれない欲求やそれを受け入れてくれるパートナーに恵まれる(恵まれない)喜びや悲しみを描いているのはわかるが、例えばシスヘテロが所謂ポルノ動画を朝から見るか?(見る人もいるだろうが)
昼間の公園で夫婦で愛を交換するか?(する人もいるだろうが)と思ったとき「普通ではない」性欲を持った人が、人の目を気にせず性を発散させているように見えるのは「(する人もいる)」という社会生活的に不適合な行動をしていることが、ノイズになるとおもった。
同じ喜びを分かちあえるパートナーを人間に見つけた幸運のあとは、おのれの性の発散は社会生活として非難されないやり方をする表現があればなあ、というここまでが私の思考実験。

水フェチというのはたとえ話として、あらゆるグラデーションの指向も嗜好も、誰にも非難されず【普通】を押し付けない世界に住みたいと、私も思う。
acqua

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