Mao

正欲のMaoのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

理解し合える大切な他者を待つ側、他者を理解しなかったせいで去られた側の対比の上での「いつまでも待ってます」という新垣結衣さんのセリフめちゃくちゃ刺さる!

もちろん新垣結衣さんと磯村勇斗さんの物語でもあるんだけど、稲垣吾郎さんにとってもかなり重要な物語だなと思っていたらエンドロールが稲垣吾郎さんの名前から始まって思わず頷いてしまった。最後のシーンで扉が閉ざされて「稲垣吾郎はどうするのか?」と想像する人がほとんどだと思うが、それはつまり「この映画を受けてマジョリティはどうするのか?」という「普通」側への監督からの問いかけなのではないだろうか。この映画の終わり方を見るとやっぱり稲垣吾郎さんの物語の色が強いのかなぁと考えた。

社会の勝ち組達による「普通」という言葉の使用ってめちゃくちゃ胸に来る。そこから漏れたら敗北者という感じがしてしんどい。もっというとマジョリティ側であろうとする人、マジョリティにすがる人は「普通」を「異常」者へと押し付けることで、マジョリティであろうとしたり、マジョリティであることを確かめようとする節もあると思う。異質を発見する側にまわれば、自分は普通代表で居られる。自分にとってありたい自分であることが大事だと思うし、それで苦しむのだとしたら、マイノリティを利用してマジョリティであることの確認作業をする人達の無意識の悪意を明らかにしなきゃいけないと思う。

一方で、踏み込んで問われなければならないのは、他人に迷惑をかけてしまう可能性がある欲を持つ者に関する議論である。他人に迷惑をかけない「異常」性癖者を描きたいために、水アレルギーじゃなければ基本誰にとっても無害な水が題材になったんだと思うけど、現実の社会にはペドフィリア(これは映画にも出てきた)もいるしサディストもいる。この是非(適切な表現じゃないと思う)を簡単に主張してはいけないんだけど、やっぱり他人が自由に生きる権利を侵害して自分を満たすのはよくないということについては間違いないし、、、全員にとっての生き辛さを解消する術はないのか、、、
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後記

この映画を見て「気付かされた!」って書いてる人は感覚が古すぎない?
Mao

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