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正欲のりのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.2
映画として、作品としては凄く好きだった。
最後のセリフも、作中の景色も、色んなものに惹かれて魅了された。
でも、最初から最後まで誰も救われてない。救われてなさすぎる。『普通』とか『一般』とか、いざそのものを説明しようとしてみても私たちは何も説明出来ないのに、『これが普通だから』『あの人は普通じゃないから』と人は線を引いてしまう。『普通じゃない』と言われた人にとっては『普通のこと』であったことも、人からの言葉や態度で『あ、これは普通じゃないから隠さないといけない』って知覚せざるを得なくなる。そんな中で見つけた希望も『ひとりじゃないんだ』って想いも、他の人から見ればそれすらも『普通じゃない』ことに見えてしまう。どこを見たって辛い世界が広がってるだけなんだろうな。じゃあ、どうするべきなのかって聞かれても、自分自身で明確な答えを出せないし、凄く悔しくてもどかしい感じ。今まで自分も誰かを『普通じゃない』って定めてきてしまってたからなのかな。それが正しいって思ってたからか。
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